八名信夫の うまいもん紀行


「おかえりなさい!」の宿
(愛媛県内子町 松乃屋)

松乃屋の朝ご飯

「お帰りなさーい!」
内子町、「松乃屋」に近付いたら
女将の智子さんが、通りまで飛んで来た。
この「お帰りなさーい!」が、嬉しいんだよなあ。

「松乃屋」は、もともと四国八十八ヶ所巡りのお遍路さんの
宿だった。
「お帰りなさーい!」と迎えられて、旅人はどんなに
ほっとしただろうか。

高田武則さんと智子さん
焼きトマト料理

「内子を訪ねて下さったお客様に
心と身体がゆっくり出来る食事をしていただこうと
二人でいつも考えているんですよ」
「この前届いた『龍馬脱藩トマト』とか?」
「そう。あれは友達が、坂本龍馬が脱藩した山で
つくっているんです。おいしかったでしょ?」

高田オリジナル
トマトのスープでうどんを。あっさりしてうまい!

「身体を壊すゾ」と、会う度に言っても耳を貸さなかった
高田さんも、
「これは身体に良いよ」と、俺にすすめるようになっていた。

「松乃屋」の真ん前の内子座で芝居をやりたくて、
高田さんを訪ねてから、18年。
高田さんや仲間の皆さんは、「内子座を壊したくない。
内子座に芝居を呼んで、内子町のみんなと楽しみたいんだ」
と、いつも熱く語って、実行していた。
町の祭りも、子供からお年寄りまで、みんなを集めて
賑やかだった。
「子供たちは、いつか、この町を出て行くかも知れない。
でも、町の大人たちは、楽しい思い出を作ってくれたナ
って覚えていてくれたら、それで良いんです」
昼間っから、ビールを飲んで、みんなで芝居や祭りの準備をしていた。
終わったら終わったで、嬉しくて、明け方まで酒を飲んで騒いでいた。

そんな思いが全国に伝わって、
全国から観光客が内子を訪ねて下さるようになった。
今回、俺も内子座や町の通りで、何組ものお客様に出会った。

松乃屋
智子さんの手作りの部屋

内子では、子供たちが町の為に頑張っている。
「松乃屋」1階で、息子さんがイタリアンの店をやっている。
俺が内子座で芝居をした頃は、中学生だったのに、
いつの間にかイタリアンの修業をしてきて、
両親の力になろうとしている。

旅館 松乃屋
〒791-3301 愛媛県喜多郡内子町内子1913
0893-44-5000
http://www.dokidoki.ne.jp/home2/matunoya/


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