八名信夫の うまいもん紀行


人の味
みかん(長崎県長与町) 半田そうめん(徳島県つるぎ町)

今年も、長与町(長崎県西彼杵郡)から、みかんが届いた。
長崎の太陽をしっかり浴びて、
鮮やかなみかん色。
大きさも、皮の具合も、皮をむいた時の感触も
「やっぱり、長与町のみかんは良いなあ」
とつぶやきながら、ぱくっ!と。
うまい!
甘い! そして、しっかりみかんの味がする。

「うちの町は、最高においしいみかんをつくっています。
このみかんで、私たちは合併をせずに、町を守っていきます」
講演にうかがった時、葉山友昭町長さんがおっしゃった。

日本は、いつの日からか、
地方に厳しい、小さな力や弱い立場の人を思いやる政治が
出来なくなって来ている。
このみかんに会う度に、
長与町の町長さんと町民の皆さんは、頑張っているなと
俺も励まされる。

講演にうかがって、一緒に食事をして、
ゆっくり話をしたいなと思ったのが、
つるぎ町(徳島県美馬郡)の兼西町長さんと皆さんだ。
「うちの町長は、≪半田そうめん≫の邪魔をしようという動きがあった時、
東京の役所まで飛んで行きましたよ。
つるぎ町の歴史と伝統を傷つけるのかって」
「≪半田そうめん≫は、250年前から、つるぎ町の人たちが
代々作り方を受け継ぎながら、守り育てて来ている味ですよ。
全国の皆さんが知ってる≪半田そうめん≫です。
どんな大手が圧力をかけようとしても、
つぶされませんよ」と町長。
日焼けした町長の笑顔が、頼もしく輝いてみえた。

俺も自分でゆでて、味わってみた。
≪半田そうめん≫は、少し太めで、こしがあって、
うまい! まろやかな麺の風味。
麺食いの俺にぴったりの味だ。

【入魂】
≪半田そうめん≫には、【入魂】という文字が書かれている。
つるぎ町の、人の味。つくった人の魂が感じられる。

冬のある日。兼西町長さんから、正月用の食品をいただいた。
≪つるぎ町 道の駅 貞光ゆうゆう館≫の箱。
餅、柿、ゆず味噌、そしてこの干柿が入っていた。
軒先につるしていたのを、そのまま外して箱に入れたような
立派な干柿がびっしり入っている。
そのうまさと言ったら!
干柿に目のない俺がびっくりする位、最高にうまい!
もったいないから、一日ひとつずつ
味わいながら、楽しんでいる(笑)
「八名さん、つるぎ町の道の駅は、
町の皆さんが作っている物を並べているんですが、
いつも、行列ができて、昼にはなくなるんです、って
この前話しましたが、本当でしょ?
こんなにおいしい物ばかりが、揃っているんですよ」
と、嬉しそうに自慢する町長の笑顔が見える気がする。


長与町役場
〒851-2185 長崎県西彼杵郡長与町嬉里郷659番地1
095-883-1111
http://webtown.nagayo.jp/

つるぎ町 道の駅 貞光ゆうゆう館
〒779-4101 徳島県美馬郡つるぎ町貞光字大須賀11-1
0883-62-5000
http://www.yuuyuukan.jp/

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