八名信夫の うまいもん紀行


おふくろの味
湯田中 関谷醸造場の味噌

俳優は、色々な役になれる。
色々な人生を演じることが出来る。
俺も若い頃は、何とか組の組員。殺し屋。
近ごろは、寿司屋の頑固オヤジ。葬儀屋の社長。
女郎屋の親方。これは楽しかった。工藤栄一監督の『必殺』。
靴屋の社長。(『いいひと。』)
刑事も。大体が叩き上げの刑事。
犯人の似顔絵書きの、腕の良い刑事もやった。
でも、長年犯人ばっかりやっていると、
ナンカ後から追われているような気がして落ち着かない。
色々な役を演じて。
作・山本良一氏(湯田中)

野球のグランド整備員もやった。
九州の社会人野球チームの話で、戦争で選手たちが召集されていく。
戦地へ行く前の夜、たった一人でグランドを走る選手を、そのオヤジがしっかり見届けてやる。
良い作品だった。

最近は、八丁味噌の職人頭。(『純情きらり』NHK)
歴史と伝統のある味噌を、どうやって伝えていくか?
そのじいちゃんの姿を、受け継いでゆく孫の桜子。
味噌屋に入って、苦労をしてないか?
そっと見に行くじいちゃん。
薪を割っている孫に、大丈夫か?と目で問い掛ける。
明治の男なんだよナア。

実は、この作品に入る前に
長野の湯田中温泉の味噌屋さんに勉強に行った。
友だちの関谷朋子さんがやっている関谷醸造場で、
信州は、味噌が有名なんだけれど、関谷さんの味噌は
特に、まろやかでうまいと評判なんだ。
(最近も、全国味噌鑑評会で総合局長賞を取っている)
鍋に入れると、すっとうまい具合に溶けて
だしも何にもいらない。
うまみが、すっと出てくる。
味噌汁は味噌の使い方が面倒、なんて言ってる人でも
関谷さんの味噌なら、簡単。
俺が思うに、関谷さんの人柄が良い具合に出ているから
こんなにうまい味噌が出来た!んだ。

湯田中温泉の湯は、身体に良い、いやされると評判で、
俺も時々遊びに行くんだけれど、
関谷さんは、俺をみつけて、
おはぎにポテトサラダ、野沢菜の漬物、りんごにさくらんぼ、
俺の好物を、さーっと持って来てくれる。
あの心使い、やさしい思いやりが
味噌に出ている。
そう思うんだ。

味噌汁は具が主役だけれど、
大切なのは、脇を支えている味噌なんだ!
と、教えてくれる。

関谷醸造場
〒381-0401 長野県下高井郡山ノ内町平穏2865
0269-33-2535
http://www5.plala.or.jp/sekiyajozo/
志賀高原みそ http://www.janis.or.jp/users/yoshie-s/


※写真は関谷醸造場様 志賀高原みそのサイトから、許可を得て転載致しました。

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