八名信夫の うまいもん紀行


あったかいこころ
〜暖心(だんしん)〜 大阪 北新地

大阪北新地といえば、俺等の世代は、ちょっと敷居の高い、
遊び慣れた大人が通う街というイメージだったが。
最近は、変わったね。
久しぶりに《暖心》を訪ねたら、大人も集まっているし、
若い人たちも気軽に顔を出す、明るい笑顔があふれた店になっていた。

うまい酒とうまい料理。
それから、オーナーの人柄と、
板前君の明るさが人気の秘密かな?
こんばんは、と店を訪ねたら、
すぐ居心地の良い店になる。
知らない同士が、一緒のカウンターに座って、
いつの間にか話し掛けたり、
酒を酌み交わし合っている。

この雰囲気が気に入って、
俺の第1回脚本・監督映画『おやじの釜めしと編みかけのセーター』の
大事なシーンを、ここで撮らせて欲しいとオーナーに頼んだ。
映画は観てくれましたか?

元刑事で、今は富山県五箇山で釜めし屋のおやじをやっている俺が、
家出した娘を探して《暖心》を訪ねるシーン。
「菊江ちゃんは、働き者で人気がありましたよ。
 でも、四国へ行ってしまいました」
と、優しく声をかけて貰って、トボトボと店を去る竜次(オレ)。

 

実は、《暖心》の社長も、板前君も、フロアの女性たちも、お客さんも、
映画に出ているのは、《暖心》の皆さんだ。皆さんに出演をお願いした。
いつもの感じで仕事をして下さいね。お客さんもいつものように、
普通に飲んで喋って楽しんで下さいよ、とお願いしたら、
本当に自然な感じで撮影出来た。
これが、セットを組んで、エキストラの俳優さんたちを頼んでいたら、
こんな自然な雰囲気は出せなかった。
また、《暖心》のみんなは、楽しむことが上手だな。
「映画?」「よし、やろう!」と、楽しんで出演してくれたから、
皆さんの楽しい気持ちが映画のシーンを楽しくしてくれた。
監督としては、本当に助かった。

映画が全国各地で上映されると、《暖心》のみんなは、遠い所でも来てくれる。
大きなスクリーンに自分が映ると嬉しいんだなあ。みんな、笑顔で観ている。
「出て貰って良かった」と、俺も嬉しくなる。

そして、この映画が縁で、オーナーと板前君が、
徳島県つるぎ町の“半田そうめん”を気にいってくれて、
新しいメニューに入れてくれることになった。
勿論、大阪北新地では、初めての《半田そうめん》だ。

《半田そうめん》は、俺が応援団長をしているくらい、うまいもんだけれど、
どういう料理にするのかな?と思っていたら、
流石だね、夏には夏、冬は冬、
冷たいメニュー、あったかいメニューをみごとに創ってくれた。
是非《暖心流半田そうめん》も楽しんで下さい。
ああ、ポスターも創った。良いポスターだよ。俺も手伝った。

俺の次の映画にも?
《暖心》チームは、勿論出演する。
熊本までみんなで来てくれると、今から張り切っている。
また、その話で店は盛り上がるんだろうなあ。ははは

  

暖心
〒530-0003 大阪府大阪市北区堂島1-4-26 玉家ビル1F
06-6347-0031


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