八名信夫の うまいもん紀行


旅の道づれ
(豊橋 ヤマサの竹輪)

仕事の帰り。
名古屋から<こだま>に乗りかえて、
豊橋駅で『ヤマサの竹輪』を買う。

「豊橋で、のぞみに追い越されます。3分停車します」
アナウンスが入ると、出口へ向かう。
「3分なら買える!」
ホームの売店へ走って、ヤマサの竹輪を2包み買う。
昔ながらの小さめの竹輪。

そして、席に着くなり、食べる。
んーん、うまい!
ぱくっとかんだ感触、軽いまろやかな味わい。
ああ、よくぞ日本人に生まれけり。なんて、そんなほっとする懐かしい味。
気が付いたら、1包みをあっと言う間に食べている。

電車の旅も、20代30代の頃は、夜行だったり鈍行だったり
その後は、必死の忙しさ。
まわりの景色を眺める余裕もない位、ともかく急げ急げ!
そんな時でも、「あ、豊橋の竹輪!」 思い出しては、
こだまに乗り換えて、駅のホームで<ヤマサの竹輪>を買った。
1包みを食べると腹いっぱいになる。
無我夢中で走り続けている気持ちを、ほっとさせてくれたのかな?
残りのもう1包みは、かばんに入れて、家に帰ってから食べることにしている。

『ヤマサの竹輪』は、東海道五十三次の頃からあったそうだ。
庶民が造り続けて来た味なんだなあ。
新しい竹輪には棒がついているものもあるが、
俺は、昔ながらの穴のあいた竹輪が好きだ。
あのちっちゃな穴から、世間を眺める!
良い渡世もしなくちゃあ、なあ?


ヤマサちくわ株式会社
〒440-0894 愛知県豊橋市魚町97
0532-53-2211 (代)
http://yamasa.chikuwa.co.jp/


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